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キャブレター基本セッティングマニュアル

キャブレターは、通常エンジン後方に位置しており、エンジン内部の爆発に必要な混合気を作る大切な混合気器(ミキサー)です。エンジンは爆発すると、その慣性で回り続けようとします。それを吸気制御することで回転を制御するのもキャブレターの役割の一つです。

キャブレターの種類

CVキャブレター(負圧可変ベンチュリタイプ)
CVキャブ図面

ピストンバルブの上部に設けられたゴム製のダイヤフラムで仕切られた部屋の中を、ベンチュリ部の負圧によって吸い出し、容積を収縮させることによってピストンバルブを持ち上げる仕組みのタイプ


VMキャブレター(ピストンバルブタイプ)
VMキャブ図面

スロットルバルブを直接ワイヤーで操作するタイプ

エンジン回転数ごとのキャブレターインナーパーツ守備範囲

守備範囲グラフ
エンジン回転数 インナーパーツ名称
0%〜30% ※1 エアスクリュ、パイロットスクリュ、スロージェット
30%〜75% ※2 ジェットニードル
75%〜100% ※3 メインジェット

※1 エアスクリュ、パイロットスクリュ、スロージェット
エアスクリュ、パイロットスクリュ、スロージェットはエンジン回転数0%〜30%の混合気を調節します。特に低速の付き、トルク感はこの範囲で調整します。

・ エアスクリュ = 締め込んでいけば混合気が濃くなり、開ければ薄くなります。
・ パイロットスクリュ = 締め込んでいけば燃料が薄くなり、開ければ濃くなります。
・ スロージェット = サイズを示す番数が刻印されており、数字が大きくなれば燃料が濃くなり、小さくなれば薄くなります。


※2 ジェットニードル

ジェットニードルはエンジン回転数30%〜75%の混合気を調節します。ジェットニードルは段数の付いていない方を下に向け、上からP(1)、P(2)と呼び、その溝にクリップが取り付けてあります。クリップの段数を下げるとジェットニードルが上がり濃くなります。逆に、段数を上げるとジェットニードルが下がり薄くなります。また、ジェットニードルのストレート径は極低回転、低開度からの吹き上がりに影響します。


※3 メインジェット
メインジェットはエンジン回転数75%〜100%の混合気を調節します。
番手が大きくなれば濃くなり、小さくなれば薄くなります。


気象、場所の状態とジェッティングの関係


セッティング前のCheck&Advise

Check 1 Advise 1
インテークマニホールド部のゴムの劣化による亀裂の発生、バンドの締め忘れによるエア漏れはないか。 新しい部品に交換してください。またはバンドを締め直してください。その際バンドの位置に気を付けて締めて下さい。
Check 2 Advise 2
エアクリーナーのホコリ等による目詰まりはないか、またエアクリーナーの変更による空気量を増やしてないか。 汚れがひどい時は清掃するか新しい物に交換して下さい。パワーフィルター、ファンネル等に交換している場合は、空気の量が増えている場合があり、スタンダードセッティングからの変更が必要になる場合がありますので注意してください。
Check 3 Advise 3
点火プラグ、コードなどの電気系は正常か。 プラグコードの変更によりコードの取付不備でのトラブルが見受けられますので、注意してください。
Check 4 Advise 4
キャブレター同調調整 複数のキャブレターの場合アクセルを開けた時にスロットルバルブの開度が異なり安定したアイドリング、パワーが得られず本来のキャブレターの性能が損なわれる事があります。キャブレターの性能が損なわれたままカスタムパーツを取り付けても思うような性能発揮にはつながりません。出来ればキャブレターのオーバーホール時に同調調整を行なって下さい。バクダンキット取り付けの際に行なうのも一石二鳥で良いかもしれません。
Check 5 Advise 5
総合的に自分のオートバイのセッティングを自分なりに把握する。 基本整備が出来ていること。セッティングの判断に必要な確認箇所は以下の通りです。
プラグの焼けは正常か、白く焼けている場合は薄く、黒く焼けている場合は濃い。 サイレンサーなど、排気側エンド部分にカーボンが異常に付着しているもしくは黒煙が出ているときは明らかに濃いと判断できます。 アクセルを開けた時にエンジンの回転数が上昇する過程で回転が一定に上昇しない場合、その回転域に問題があると判断できます。ただし、回転域に問題がある場合必ずしもキャブレターセッティングに問題があるとは限らない事もあります。原因として考えられるのは電気系のトラブル、吸気系のトラブルが考えられますので、注意してください。

不具合時の症状

<濃過ぎる場合>
スロットルを開けていくと回転上昇が滑らかでなく、ある回転数を維持しようとスロットル開度を大きめにするとボコツキや振動を伴った様な回転上昇を見せます。

<薄過ぎる場合>
スロットルを開けていくと回転上昇中に息付き、あるいは回転が落ち込み、ある回転数を過ぎるといきなり回転上昇し、各回転に合わせるのが困難になります。

不具合時の対応事例

シケイン、ヘアピン等の立ち上がり時の息付き、またはついて来ない場合

  • エアスクリュを締め込む、またはパイロットスクリュを開ける
  • 上記で効果が低い場合はスロージェットを大きくする

2速〜3速でトルク感が無い、またはストール感がある場合

  • 薄い状態であり、ジェットニードルのストレート径を細くする
  • スロージェットを大きくする
  • エアスクリュを締め込む
  • パイロットスクリュを開ける

セッティングの見極め方法

バキュームピストンのリフト位置を知る
基本的セッティングの考え方は、まずスロットルグリップ開度も目安となりますが、それよりも重要なのはバキュームピストン(スロットルグリップ)のリフト位置を知ることがポイントとなります。この部分だけがピストンタイプのキャブレターとの違いであり、これさえ把握しておけば不具合場所がわかりセッティングの重要な助けとなります。

注意事項
バキュームピストンの負圧の変更及びコンプレッションスプリングのカットは、絶対にしないこと。リフト特性が変わりセッティングが困難になります。